あらすじ
フランスの名門の出だが、今は半分こわれかけた家で「ぼく」と二人暮らし。
たぐいまれな想像力で、難事件をあざやかに解決してみせる――その人の名は、オーギュスト・デュパン。「ぼく」が目撃した華麗な推理を、これからきみも目の当たりにする!
(「ポプラキミノベル公式サイト」より)
感想
もともと古い――佐々木直次郎さんの訳で三部作とも読んではいたんですが、また読みたくなって本作を手に取ってみました。正直、"当たり"でしたね。
小学校高学年向けの児童書用に読みやすくされているし、なにより新しい訳なので、するするっと読み終えましたよ。
内容に関しては言わずもがな。世界初の推理小説である「モルグ街の怪事件」。実際に当時、起こった事件をもとに書かれた「マリー・ロジェの謎」。そしてデュパン三部作の中で、もっとも完成度が高いと言われる「盗まれた手紙」。
個人的にはやはり「モルグ街の怪事件」が一番、好きですね。密室で猟奇的な殺人が起こって、天才的な探偵が謎を解く。そして、明かされる意外な犯人……! 推理小説はこうでなくてはね!
佐々木さんの訳ではおどろどろしかった気がしますが、戸川さんの訳は子どもが読むのを意識してか。サッパリとした文章になってますね。それも相まって、読みやすいです。はみさんによる愛らしいイラストの効果もあるでしょう。
人によっては、この可愛い絵が作品にそぐわないと拒否反応を起こすかもしれませんが。戸川さんの訳には合っていると思うので、別の訳を読めばいいと思います。はい。
いや、面白かった。デュパンもともと、好きなんですよ。でも「モルグ街の怪事件(訳によっては「モルグ街の殺人」)」しか内容を覚えていなくて、あとの二編は"すぽーん"と記憶から飛んでました。なので読み返したくて読み返したくて、仕方が無かったんです。
それで探したんですが「マリー・ロジェの謎」「盗まれた手紙」が収録されている本が、まあ、見つからないわけです。あっても片方しか収録されてないパターンが、ほとんどでした。そんな中、やっと見つけたのが児童書の本作。
もう「出会った」って感じでしたね。ちょうど欲しかったのは、"デュパン三部作だけ収録した本"だったので。
次はポケットマスターピースから出ている『E・A・ポー』を買うつもりです。こちらにもデュパン三部作が収録されていると、後から知ったので読んでみようかなと。いつになるかは、わかりませんけどね。さきに積ん読消化だ!