アレンデール王国の王女エルサは生まれつき、触れたものを凍らせたり雪や氷を作ったり出来る魔法を使える。しかしある日、妹アナにあやまって魔法を当ててしまう。意識不明になってしまった妹を連れて、王と后はトロールに助けを求める。アナは魔法や事故の記憶を塗り替えられ、一命を取り留める。
日増しに魔法が強くなっていくエルサに、王と后は対策として「力を知られてはならぬ」と城の門を閉ざした。エルサ自身は魔法を抑える手袋をはめ、部屋に引きこもるようになってしまう。一方でアナは何もわからぬまま、閉ざされた城内でさびしく成長していく。しかし十年後。海難事故で王と后は帰らぬ人となってしまった。
三年後。成人したエルサは女王として、即位する運びとなった。閉ざされていた門を開き、戴冠式が行われる。アナは十三年ぶりに外界と接触する機会に、胸を躍らせていた。そのとき隣国の王子ハンスに出会ってすぐに恋に落ち、結婚の約束までしてしまう。
魔法を悟られぬよう苦労して戴冠式を終えたエルサは、二人の結婚に反対する。閉塞的な生活に嫌気がさしていたアナは、「こんな生活は耐えられない」と聞く耳を持とうとしない。姉妹は口論になってしまう。アナに手袋をうばわれたエルサは思わず、人前で魔法を暴走させてしまう。自分の力を知られてしまったエルサは、王国から逃げ出していくのだった。
ノースマウンテンにたどり着いたエルサは、そこに氷の城を立てて一人で自由に生きていくと決意します。しかし追いかけてきた妹アナから、「自分の力」のせいで王国中がとんでもない被害を被っているとしらされてしまいます。
どうにかしたい。でも、自分でもどうにもできない。そう悩んでいるようすが、うかがえました。
自分を受け入れきれないエルサが放った攻撃が、アナの心臓に突き刺さりました。溶かすには「真実の愛しかない」と、トロールから聞かされたのでハンスのもとへ向かうと……ハンスから真実を聞かされます。なんと立場の弱い末っ子だから、王に成り上がるためにアナに近づいただけだったのでした。
非情にも冷たい部屋に閉じ込められるアナ。そこにエルサの魔法によって、命を吹き込まれた雪だるまオラフが助けに来ます。同じころ。道中のアナをずっと守ってきた山男クリストフも、王都の異変に気づいて引き返します。
あとから来たハンスによって、牢獄に閉じ込められていたエルサ。なんとか逃げ出したものの、氷上でハンスに出会います。そしてハンスに刃を向けられたとき。間一髪。アナが間に割って入りました。ちょうどアナの躰は、エルサの魔法によって氷の像になったので剣が折れたのです。
泣き叫ぶエルサ。しかしエルサの愛によって、アナにかかっていた魔法は解けたのでした。そして、気づくのです。「愛で魔法をコントロールできる」と。
エルサは王国を覆っていた雪や氷、分厚い雲を消し去りました。夏を取り戻したのです。そうしてエルサは国民に受け入れられたのでした。
感想
一言で言えば、「エルサの『自己受容』までの物語」です。雪山のシーンで歌われる「Let It Go」は有名ですが、こちらは『どうにでもなれ』という意味が強い。完全に受け入れ切れてはいません。王国から逃亡した直後の歌ですからね。当然といえば、当然です。
もともとの詩(英語版)の方を聞いた方が、よりわかりやすいでしょう。
エンディングの「Let It Go」は日本語訳なのもあって、かなり前向きになった印象。さらに言えば、親からずっと「隠しなさい」「ばれてはいけない」。そう言われ続けた自分の短所や醜い部分を、周囲が受け入れてくれたわけだからね。
“わかりやすい悪役”はいなかった印象。ハンスおるけど、小物感ある悪役でしたね。ちょろっと引っかき回すぐらい。アナの命を危険にさらしたけどな。「絶対悪」ではなく、「下衆野郎」。
「ハンス」という名前のキャラクターってさ。グリム童話だと、だいたい頭がおかしいんだよね。サイコパスみがあるというか、狂っているというか。それを意識しているのかは、存じませんが。
だいぶ前に親戚からもらったDVDを引っ張り出して、いまさらながら見ました。なかなか面白かったです。お話自体はベタでシンプルですので、見てみるのをおすすめします。